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My Foolish Heart

江戸川乱歩短篇集

 こないだ終わった月9の『ビブリア古書堂』は、とてもよかったと思った。今までの月9の中でも最もいいと思ったくらいだ。が、しかし、視聴率は最低だったそうだ。なんでやねん!!クライミング仲間は、月9は、恋愛をテーマにして、もっとチャラチャラせんとあかんやろ~ と言っていた。
 ビブリアのドラマは、実によかった。何がそんなにいいのかと言うと、全ての回に於いて、喪失感を描いているからだ。
女子高生の失恋、視力を失った夫、亡くなった愛人の残してくれた遺産・・・・など 喪失感の後に残る愛を描いている。
それをわかるのは、大人しかわからず、今のお子様にはわからんやろうね~・・・・

 漱石の「それから」を題材にした1回目の話は、男女の秘め事、ドラマチックでミステリアスで感動した。
 最終回の江戸川乱歩を題材にした話は、乱歩コレクションを愛人宅にもった男が亡くなった後、金庫に隠した遺産を乱歩の小説のように暗号を解き明かす話だった。
 愛人役を松田美由紀が好演していた。
 
 ドラマに影響されて、乱歩の短編集を買いに行った。やっぱりドラマの視聴率が悪いせいか、乱歩の小説のフェアー等はされておらず、文庫を探す。ちくま文庫にあったが、肝心の「押絵と旅する男」が載っておらず、岩波文庫を取り寄せした。小学生か中学生の時に、本が好きな友達が、少年探偵団シリーズを読んでいた記憶がある。そんなに乱歩の小説とは陰惨なのか・・・・

解説には 「押絵と旅する男」を乱歩の最高傑作と評者は多いが、遠眼鏡を逆に覗くことで縮小された小宇宙に封じられ、永遠の愛そのもののなかに生きるこの物語は、たしかに読むものに不思議な懐かしさと同時に戦慄するような恐怖感をよびおこさせる傑作である。
同じ時期の作家、森鴎外と比較しまったく文学性は異質で対極的だという。

探偵小説も事件を科学的、合理的に推理することによって、犯罪というものが必然的にはらむ人間の残忍で、グロテスクな不合理きわまりない側面を冷徹無惨に抉り出してしまった。文化や教養による精神の教化といった十九世紀的な芸術への信仰を根底からくつがえし、人間のひそむ残虐と破壊へのノスタルジーを語りだすようになっていった。
乱歩は「戦争と芸術だけが、夫々全く違ったやり方で、あからさまに残虐への郷愁を満たす」ことが許されているといっていたが、現在、パンドラの箱が開けられてしまったかのように、猟奇的犯罪が溢れ出してきた。

「目羅博士の不思議な犯罪」のラストに記された言葉
「殺人の動機ですか。それは探偵小説家のあなたには、申し上げるまでもないことです。何の動機がなくても、人は殺人のために殺人を犯すものだということを、知り抜いていらっしゃるあなたにはね。」をもう一度噛み締めてみる必要があるのではないだろうか。


乱歩の小説は、残忍でも面白く読書が進むのは、きっと自分の中にある人間の奥底の欲望の実態を見せられているからなのだろう。

短篇集を読んでから、ビブリアの最終回からひとつ前と最終回を観ると、また感動した。暇なのか、それはちがいないけれど、私も、松田美由紀が演じた愛人のごとく色とりどりの幻想の乱歩の世界に浸ってみたいと思った。
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by mizunoawa921 | 2013-04-07 10:20 | 雑記 | Comments(0)
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