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My Foolish Heart

夢笛

正月休み 田辺聖子の『夢笛』という小説を思い出す。
もう若いとは言えない男女の短編。
女は昔の同僚の男と再会し、友達関係が続く。暇になった時に会い飲む程度の仲。

ある日、カラオケで女は「サントアマミー」を歌う。
二人の恋は終わったのね~
さようならと顔も見ないで去っていた男の心・・・♪
歌いだして不倫の終わった恋愛を思い出し、号泣し、酔いつぶれ、男に送ってもらう。
しかし、何もない。

二人の口癖はいつも
「せえへんで~」
「させへんで~」

「お正月休み、女は一人暮らしの孤独を潰す方法を男を部屋に招き飲むことを思いつく。
女は故郷の神戸の年越しの話をする。
除夜の鐘の頃に窓をすこし開けて、耳を澄ますとね ブォーーボォーって港の方から汽笛が聞こえてくるの あの音はほんとに素敵だったな~ ひとりぼっちでホテルで聞くのはチョー虚しかったけど つまらない男に足をとられちゃったと今は思うわよ」

「ほんまや あんなアホなおっさんにいかれやがってからに あの工場長次から次と若い女の子ひっかけるのんで有名やねん まさかあんたがと思って信じられへんかった。」

「そんならあんたの別れた奥さんはどうなのさ 超自己中で怠け者で薄情で 男には猫かぶってとんだくわせもんだったじゃない!!」

と言って喧嘩が始まり、いい感じでいつもどうりに気よく飲んでたのに、男は部屋を飛び出す。

しかし、何時間か経ち、男は言い過ぎたと言って帰ってくる。

そして二人は初詣に出かける。

「あのな・・・せえへん仲に飽いたらすぐ言うてや するするさかい」
「はは・・・・涙・・・・・・」
「これ笑うとこやで!笑わんかい いっぺんでも数多く笑たほうが人生は勝ちやねん」

霧の中をゆく船が 霧笛を鳴らすみたいに今、二人は夢を鳴らしながら手探りで近寄り合ってる
そんな気がして

「次の大晦日は神戸へ汽笛の音聴きに行こ・・・な」


好きな短編集。人生捨てたものではない。そんな男女の機微を描いた作品だ。
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by mizunoawa921 | 2009-01-03 01:50 | 雑記 | Comments(0)
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