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My Foolish Heart

喋々喃々

小川糸著 『喋々喃々』を読む。

下町の風情を残す東京・谷中でアンティークのきもの店を営む主人公の栞。ある日店に、春一郎が現れる。笑うと目じりに三本の皺の出来る、キリンのような優しい人。左手の薬指に結婚指輪をはめている人。

「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。真っ白い粥に細かく刻んだそれらを放つと、そこだけ春になった。」着物を着て過ごす、古き良き昭和の下町のお話かと思いきや、現代のお話で、筆者も若い。実際の東京の谷中のお店が沢山出てくる。美味しいもの、甘いもの好きな人なら、実際にこの本に出てくる店を回ってみてもいい。

下町の美しい季節と共に、ゆっくり時が流れていく、そして、栞と春一郎の恋もゆっくりと・・・・
読んでるうちに嘘臭く感じていくのは私だけだろうか・・・・ふわふわとした美しい季節感と美味しい食べ物に、ごまかされて、不倫のドロドロした生身の男女関係は、感じられない。恋愛中のきりきりした苦しさや不倫なら尚更、逼迫した内面の部分が感じられない。

途中、栞の家族や下町のユニークな人々が登場する。しかし、どの人物も「人間」の描き方が乏しいように思う。10年後の筆者の小説を読んでみたいと思う。

「誰かを好きになる、少しも混じりけのない尊い気持ちを、永遠にこの体と心と魂に刻みつけておきたい。
たとえこの先私と春一郎さんがどうなろうとも。・・・・・」

しかし、二人の思い出の場所、東京にある跨線橋に行ってみたいと思った。
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by mizunoawa921 | 2009-06-12 21:45 | 雑記 | Comments(0)
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